生理中のホルモン値の見方が分かりません。
こんにちは。
女性のための鍼灸院 – nobori – の中村です。ㅤ
不妊治療専門の病院に通ってらっしゃる患者様から、「採血したホルモン値をみて何が分かりますか?」とよく質問を受けます。医師には「問題ありません」と言われたけど、採血で何が分かるのかな?と疑問にもたれる事も多いのではないでしょうか。
細かい所まで知っておく必要はないと思いますが、大まかに知っておくだけでも自分のカラダの中でどのような事が起きているのか分かるようになりますよ。
もしホルモンの数値の紙をお持ちの方は、お手元に置き照らし合わせてご覧くださいね。
FSHは、脳の下垂体前葉から分泌され、卵巣の中にある未熟な卵胞に向かって「育てー!」と指令を出し、卵胞を大きくしていく作用があります。FSHは卵胞の発育と卵胞ホルモン(エストロゲン)の生産に関わるとても重要なホルモンです。
このFSHは卵巣が正常に機能しているかの一つの指標となるため、基準値が11〜12mIU/ml以上の場合は卵巣の機能低下が考えられます。40mIU/mlを越える場合は早発閉経の可能性がありますが、一時的にFSHを下げてホルモン調整をしながら採卵をするケースもありますので、数値を見てあきらめずに一度医師に相談されると良いと思います。
FHSは高いと問題ですが、低ければ良いのかというと実はそうではありません。
FHSが3mIU/ml以下で、さらに他のE2やLHも低い場合は、ホルモン分泌の司令塔である脳の視床下部もしくは下垂体の障害が考えられます。よってFSHの基準値は3.5~11mIU/mlが理想といえます。
女性ホルモン(エストロゲン)は、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)、エストリオール(E3)という3つのホルモンから構成されていることはご存じでしょうか。卵胞の成長状況をみる重要なホルモンが2つ目のエストラジオール(E2)。このホルモンは子宮内膜を厚くしたり、頸管粘液(おりもの)を増やす作用があります。
卵胞が大きくなる程、E2の分泌が増加し、E2が200~300pg/mlに達すると排卵に関わる黄体形成ホルモン(LH)が作用し、通常は排卵が起こります。
FSHと同じく脳から分泌されてエストロゲンの生成や、排卵を起こすホルモンです。排卵時期以外は数値が、FSH>LHになりますが、多嚢胞性卵巣症候群の場合はこれがFSH<LHと逆転します。通常はE2の血中濃度が200pg/ml以上になっていくとLHサージという反応が起こり、LHサージの開始から36時間後、ピークの12時間後に排卵が起こるとされています。卵巣刺激をしながら採卵をしていく場合には、このLHサージが起こらないように薬剤で調整しています。
乳汁分泌ホルモンとも呼ばれ、通常は産後に分泌が増加されることで母乳を出します。PRL値には1日の中でも多少の変動があり、食事・運動・ストレスにより上昇し、午前中より夜間の方が数値が高く出てしまいます。このPRLが高値(30ng/ml異常)になると月経の異常(無月経、黄体機能不全など)が起こる場合がありますので、妊活中の方は一度検査をされておくと良いと思います。数値が高い場合は、治療薬としてカバサール錠が出される事が多いですね。
卵胞から卵子が排卵した後に、黄色く見える「抜けがら」みたいなものを黄体と呼びます。この黄体からプロゲステロンが分泌され、脳の視床下部の体温中枢に作用し体温が上がります。高温相の中間期に採血をしてプロゲステロンの濃度を測定し、値が10ng/ml未満の場合に黄体機能不全の可能性がありますので注意です。多くの生殖医療のクリニックでも移植時に、10ng/ml以上を基準としています。
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いかがでしたでしょうか。一つでも疑問に思っていた事が解決されれば幸いです。
当院の患者様には、毎回病院で測定したホルモン値をお持ちいただき経過を一緒に確認させていただいております。卵胞の成長状況やホルモンバランスの状態などを数値から読み解くこともできますので、分からない方はぜひご相談くださいね。
鍼灸サロン – nobori - 中村 早耶香